河井寛次郎 Kanjiro KAWAI(1890−1966)の名著「蝶が飛ぶ、葉っぱが飛ぶ」中に滑石街道を越え山科に向かう下りがあります。滑石峠を山科側に少し下った所に山桐の大木が一本立っている辺りでいつも一休みするとあります。
この木の葉が虫に食われて丸坊主になっているのを眺め「葉っぱが虫に喰われ、虫が葉っぱを喰っているにもかかわらず、虫は葉っぱに養われ、葉っぱは虫を養っている」としかと見えたそうです。
そして新日吉神社周辺で夕暮れの京都の街を眺めながら聞いた「調和」という言葉を聞きながら思案していたことの答えを得たと書いています。
「この世このまま大調和」
写真(上)は滑石峠付近に在る桐の大木。京都市街側に少し下った場所なので残念ながら寛次郎が見た桐の木ではないが当時を偲ぶ縁であるでしょう。
滑石街道峠近くより京都の街を望む
滑石峠より山科側へむかう道