如意寺は天台寺門宗総本山園城寺の別院で鹿ヶ谷から大津に至る「如意越え」に沿った京都東山山中に平安時代中期から 15 世紀の応仁・文明の乱頃まで存続した大規模な山岳寺院です。
三井寺には「園城寺境内古図」如意寺幅(重要文化財)が伝来し、本堂のほか深禅院・赤龍社・大慈院・西方院・寶厳院・熊野三所など 67 以上の堂塔社殿が山中に建ち並んでいる様子が描かれています。
1985年頃までは楼門の滝と熊野三所辺りの遺跡が確認されるだけでしたが、(財)京都市埋蔵文化財研究所 梶川敏夫氏の約2年にわたる調査によってその全貌が明らかになりました。
現在全ての堂宇は消失していますがその跡地は比較的良好に残っており、礎石や石造物の残欠が散見されます。
今回は京都市左京区鹿ヶ谷から桜谷川を遡り如意が岳越えで本堂跡までの各堂宇跡を訪ねてみました。
鹿ヶ谷への道。向かって左側は霊鑑寺、右側はノートルダム女学院。
不動堂跡
楼門跡に続く階段
桜谷川上流の楼門の滝
1935年建立の「俊寛僧都忠誠之碑」。このあたりは月輪門跡と考えられる。
浴室跡
築地跡
熊野三所跡:東は本宮、中は新宮、西は那智に倣った三所が存在した。
登山道に沿う巨石
鹿ヶ谷を流れる桜谷川の源流部のひとつ
同じく桜谷川の源流のひとつ
宝厳院般若堂跡
宝厳院般若堂跡礎石
大慈院跡
大慈院跡
西方院跡:既に草が茂り大慈院より西方院に下る踏み跡が不明。かつては階段で結ばれていた。
雨神社:災害で倒壊し現在修復中
雨神社:如意寺の赤龍社の跡を踏襲している
深禅院跡
深禅院跡
延寿堂、または常行堂跡。礎石が残る。
本堂跡
本堂跡:住吉大明神礼拝座石
本堂跡:住吉大明神礼拝座石を望む
如意岳山頂より南側を望む。
大文字火床より鹿ヶ谷に向かう下山道
参考文献:
京都伝統文化の森推進協議会 / 平安京周辺の山林寺院跡と戦国期山城跡の実態視察
(財)京都市埋蔵文化財研究所 梶川敏夫