京都会館は前川國男 MAEKAWA Kunio (1905 – 1986)の設計によるコンサートホール。1960年(昭和35年)に開館。
前川國男はル・コルビュジエ、アントニン・レーモンドの元で学び、モダニズム建築の旗手として、第二次世界大戦後の日本建築界をリードした建築家。
ユネスコの諮問機関で世界遺産の登録審査やモニタリングをしている国際組織イコモス(ICOMOS、本部パリ)が、京都市の計画している京都会館第一ホールの建替計画に対して、文化遺産に取り返しのつかない害を及ぼすという内容の遺産危機警告を発令しました。
イコモスの「20世紀遺産に関する国際学術委員会」委員長名で、京都市長宛に意見書が送られており、その中で以下の3点が明らかにされています。
1. ユネスコの事業に影響力を持つイコモスが、現在の京都会館を「遺されるべき文化遺産」と認定したこと。
2. 京都市の予定している改修計画は、文化遺産の価値を破壊するものであると認定したこと。
3. 改修計画に対し、遺産危機警告(Heritage Alert)が発令されたこと。
この警告が発令されるのは非常に稀な事態で、制度の創設以来2件しか発令されておらず、京都会館が3件目になります。意見書及びによると、今後、京都市の計画に対し警告が発令された事実と今後の経過に関する情報が関連機関に周知・共有され、イコモスの出版物やウェブサイトで世界に発信され続けるとのことです。
またDOCOMOMO Japan も保存要望書を京都市長宛に提出していますので下記リンクをご参照下さい。
ICOMOS, International Council on Monuments and Sites
門川大作・京都市長宛、日本イコモス委員会による京都会館再整備計画に関する見解書
門川大作・京都市長宛、20世紀遺産に関する国際学術委員会・委員長による意見書
DOCOMOMO Japan による京都市長、京都会館管理者宛の保存要望書
中庭より望む京都会館第一ホール塔屋
コンクリートを平面的に打つのではなく緩やかな勾配ををつけ、雨樋を兼ねた美しいディテール。